SiCの半導体としての可能性は?
優れた特徴を持つ物性
SiCはその高い熱的安定性と広いワイドバンドギャップで、
高温条件下での動作を求められるデバイスに適しています。
電力用パワーデバイス
電力用パワーデバイスとは、電気自動車(EV)や鉄道・産業機器、太陽光発電等のインバータ/コンバータに使われる半導体で、
電気自動車へ進む社会で大きな需要拡大が見込まれています。
現在のパワーデバイスはSi(シリコン)を用いることがほとんどです。SiCは、Siと比べると約10倍の絶縁破壊電界強度があり、
Siと比べて大幅にエネルギー効率の良い高性能なパワーデバイスの製作が可能です。
SiCのパワーデバイスへの採用はまだまだ少数ですが、Siの理論限界をゆうに超える可能性を持つSiCの高性能パワーデバイスが
様々な製品に搭載されるようになれば、社会に莫大な省電力化を実現できる、と言って良いと思います。
高周波(RF)デバイス
高周波(RF)デバイスとは、無線通信や光通信を支える半導体で、IoTやAlなど情報化社会のインフラに欠かせない半導体です。
携帯電話基地局のキーデバイスとして送信用増幅器があります。現在(2020年)整備が進められている第5世代基地局(5G基地局)の
送信用増幅器では、GaN-HEMT(窒化ガリウムHEMT)という高周波デバイスが規格化され搭載されております。
SiCは、このGaN-HEMT基板を生産する上での重要な下地基板として採用されており、これをGaN on SiC基板といいます。
5G(GaN-HEMT)を支える材料として、すでに広く社会に実装されています。